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【第1次】裁判レポートNO.5
「石神井まちづくり訴訟」の判決が下されました

2021年11月18日木曜日、霞が関の東京地方裁判所第703号法廷で「石神井まちづくり訴訟」の判決が下されました。今回も多くのサポーターズメンバーや支援者の方が傍聴に詰めかけて下さいました。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
以下に、傍聴とその後の弁護団からの解説の内容を簡単にまとめています。


          

【判決】  東京地方裁判所703号法廷にて
🔶13時15分開廷

裁判官入廷。以下の判決主文が読み上げられ、直ちに閉廷した。
〈判決主文〉
「本件各訴えをいずれも却下する。訴訟費用は原告らの負担とする」


  

 

 

【弁護団からの解説】
 ……裁判終了後、弁護士会館に移動、弁護団から以下のような話がありました。

 

🔶本日の裁判について

本日、不本意ながら「却下判決」が下されました。

私たちは、昨年12月、練馬区によってなされた「都市計画決定」は違法であるとしてその「取消訴訟」および「再開発組合設立認可処分の差止訴訟」を提起しましたが、今回の判決は、違法性の部分については何ら判断していない、「争うのが早すぎる」という一点での却下判決であると考えます。
以前からお話してきました通り、従前の判例からすると都市計画決定の取消訴訟については「処分性」という点で難しいと考えられ、却下されたことはある程度やむを得ない部分もあります。
今回、重要なポイントになったのは、再開発組合設立認可処分の差止請求です。
「第1種市街地再開発事業」というのは、いろいろな行政上の行為の積み重ねで出来上がります。
大まかに説明すると、最初の節目は「都市計画決定」です。第1種市街地開発事業や高度地区の設定、高さの制限を外すための地区計画の変更などがこれに当たります。
次の節目は「再開発組合設立認可」です。今回の事業は「組合施行」であるので、地権者たちが組合を作り、都市計画決定ののちに「再開発組合設立認可」を受けなくてはなりません。その後に権利変換計画を策定し、東京都の認可を受けると、権利変換期日に所有権が新たな所有者に帰属するという形で再開発事業が進められていきます。

今回私たちは、都市計画決定のタイミングで訴訟提起しました。一般的にはこの段階では紛争としてはまだ成熟しておらず、争うのは早いとされます。しかし行政訴訟はかなりの時間がかかるので、早いといっても今のうちに争っておかないと、どんどん既成事実が積み重なってしまい、たとえ裁判で違法と判断されても、その段階で認可を取り消すと経済的損失が大きすぎる、だから違法だけれども事業は容認するという「事情判決」=「時間切れ判決」となってしまいます。私たちはそれを避けるため、都市計画決定のタイミングで提訴し、組合設立認可の差止を求めたわけです。
組合設立認可の差止が認められるためには3つのハードルがあります。「原告適格」、「重大な損害」、「組合設立認可処分の蓋然性」です。今回の判決では、このうち「重大な損害」は認められないとの点だけを判断しました。組合設立認可が違法かどうかなどの難しい判断を避け、形式的論理に終始した判決であると受け止めざるを得ません。
裁判所の考え方は、所有権に変動が生じるのは組合設立認可ではなく権利変換計画によるものなので、現段階では重大な損害は生じないというものです。組合設立認可処分が出された段階で取消訴訟を提起すればよい、さらには権利変換処分が出たら執行停止を求めればよいというと言い方です。
弁護団は、口頭弁論の意見陳述において、「国民の権利義務の実効的救済を図る」という行政事件訴訟法改正の趣旨からすれば、現在違法性の審理に入るべきだと再三訴えてきました。今回の判決は、この趣旨を全く反映しない、血の通わない判決と言わざるを得ません。
しかし見方を変えれば、今回の判決は、違法性に関しては何も判断していないので、組合設立認可処分が出された段階で訴訟提起すれば、違法性に関する議論に入れるということになります。

 

  

🔶今後の対応について

選択肢として以下の2つを考えています。
①今回の判決を不服として高等裁判所に控訴する(控訴期限は2週間後の12月2日)。
②今回の判決は確定させ、新たに東京地裁に訴訟提起する。つまり、組合設立認可申請を待って差止訴訟、ないしは組合設立認可を待って取消訴訟を、再度訴訟提起する。
どちらを取るかは11月24日(水)に、原告団のみなさんと相談のうえ決めたいと考えています。
①、②どちらもメリット、デメリットがありますが、再提訴した場合、すでに被告側の反論を一度得ているのでそこからの再スタートとなります。中身の議論に入れるわけで、また被告側の論点もわかっているので、その点では、今回の敗訴は無意味ではないと考えます。
いずれにしても時間切れ判決にならないためには何が一番必要かを考えて決定してまいります。

 

🔶参加者との質疑応答(一部)

Q:組合設立認可処分が出てから再提訴するのか? それでは時間がかかって、いわゆる事情判決となってしまうのでは?
A:確かに訴訟提起から第1回口頭弁論の開催まで時間がかかるので、組合設立認可処分を待たず、それよりも早い段階で提訴することを考えている。

……最後に
今後の対応については、ここまで何度も足を運んでくださったみなさんにもきちんとご報告する機会を持ちたいと考えています。
これからもご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。 
                                                 以上

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