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【第2次】裁判レポートNO.7
第2次「石神井まちづくり訴訟」の第7回口頭弁論が行われました

2023年9月14日木曜日、霞が関の東京地方裁判所第703号法廷で第2次「石神井まちづくり訴訟」の第7回口頭弁論が行われました。9月に入っても厳しい暑さの続く中、これまでにも増して多くのサポーターズメンバーや支援者の方々が傍聴に詰めかけてくださいました。誠にありがとうございました。
今回、参加行政庁の練馬区より裁判所の釈明に対する回答が提出されましたが、その内容は不十分であり、裁判所からは今後の進め方が提示されました。
異例の長時間にわたる裁判となりましたが、以下にその内容を記載し、続いて、その後の弁護団からの報告もまとめています。               

【第7回口頭弁論】  東京地方裁判所703号法廷にて
🔶 13時30分開廷

裁判官入廷。
まず提出された書面の確認が行われた。提出書面は以下のとおり。
 参加行政庁(練馬区):準備書面(5) 証拠説明書(5)、丙第45~48号証

🔶裁判長より

原告と練馬区の主張がかみ合っていないのではないか。
・原告の主張…再開発組合設立認可の取消しを求めており、その理由として、市街地再開発の都市計画 決定が違法であり、その理由は、地区計画変更の都市計画のうち、高さ制限を撤廃した点が違法であるからだ。
・練馬区の主張…そもそも、変更前地区計画において高さ制限はなかった。

🔶裁判所よ

争点を以下の2点に整理したので、これについて原告は、次回迄に書面を提出してほしい。
争点①再開発事業に関する都市計画は、変更前地区計画に適合するか。
争点②地区計画変更決定は適法か。 
①については変更前特例(原告の言う1.5倍ルール)について、②については裁量権について逸脱していないか、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものかどうかを論点としてほしい。

 

🔶原告代理人弁護士より

以下2点について「求釈明」を行なった
①都市計画の整合性を図るというが、何と何の整合性なのか。
→(参加行政庁練馬区回答)高さだけでなく全体的な整合性である。
②高さについて、地区計画を変える必要性が無かったと明言したと解釈してよいか。
→(参加行政庁練馬区回答)明言を避けたい。
明確に回答願いたい。
→(参加行政庁練馬区回答)無回答

 

🔶裁判長より

争点①②について双方の主張を聞きたい。特に原告には1.5倍ルールについて、練馬区については裁量権を逸脱していない事についての説明を願いたい。

🔶原告代理人弁護士より

争点①について、練馬区は変更前地区計画ならだめで変更後地区計画ならよいとしている。練馬区が文言変更した理由について何ら答えていない。

🔶裁判長より

練馬区に対して以下の3点を要請
①高さ制限緩和にあたっては、「市街地環境の改善に資する」ことが要件となっているが、この点について要綱以外に裁量基準があれば提出してほしい。
②区域内建築物の制限について変更前地区計画当時の条例を出してほしい。
③要綱について、その変遷を見たいので、変更前地区計画以前の要綱を出してほしい。

 

※参加行政庁(練馬区):準備書面(5) 証拠説明書(5)、丙第45~48号証は

以下のボタンから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、第8回口頭弁論は、2023年10月30日(月)13時05分より703号法廷で行われます。

【弁護団からの解説】

裁判終了後、隣接する弁護士会館会議室にて、弁護団から以下のような報告、解説がありました。


🔶本日の裁判について

本日も本当に多くの方にお集まりいただき、ありがとうございました。今日は裁判所の釈明に対して練馬区が回答するということで、大変重要な日と認識していましたが、裁判所からいろいろな話があり、異例の長時間にわたる裁判となりました。

裁判所は、双方の主張がかみ合っていないのではないかとし、以下の2点を争点として挙げました。
●争点1 再開発事業に関する都市計画の変更前地区計画との整合性
●争点2 地区計画変更決定の適法性 

そして、「まず原告の方で今までのやり取りを受けて主張を整理してほしい。そのうえで被告は再度反論してほしい」との意向が示されました。また、原告が主張を整理するに当たり、以下2つの論点で主張を尽くしてほしいとの話がありました。
●論点1 変更前地区計画下において、現行の市街地再開発事業における建物の高さは成り立つのかどうかについて主張してほしい。
私たち原告側は「1.5倍ルール」という言い方をしていますが、総合設計許可とか高度利用地区などの都市計画法あるいは建築基準法の仕組み上、高さ制限がある場合にそれを緩和するとしても1.5倍を限度とした緩和までしか認められないという法体系になっています。なので、「変更前地区計画の高さは原則35メートルなので、例外としても約1.5倍の50メートルが法体系上の制限になる、したがって、変更前地区計画においては、今回の市街地再開発事業における建物高さは認められなかった」と主張しています。これに対し、地区計画変更を行なった参加行政庁の練馬区は、「変更前地区計画は原則35メートルであるが、区長の判断で無制限に高さ制限を外すことができる」と主張しています。この点に関してあらためて主張を整理したうえで、原告は主張し直してほしいということです。
●論点2 都市計画変更の必要性の有無について議論してほしい。
これに当たっては、小田急線の高架化をめぐる裁判で最高裁判所が許認可についての裁量権の行使について違法となる場合について明示しているので、その考え方に沿った形で議論してほしいとのことです。原告はすでに準備書面(1)で小田急最高裁判決を引用する形で今回の都市計画変更の違法性を主張していますが、これに関する参加人の主張も踏まえたうえで、改めて主張するようにということです。

裁判の中で弁護団が参加人に釈明を求めたのは、論点整理するに当たり、参加人の主張をはっきりとさせたかったからです。「高さ変更の必要性はなかったと主張するのであれば、それをはっきりと明言してほしい」と迫ったわけですが、明確な回答は得られませんでした。行政庁の代理人は上司の決裁を受けずに臨機応変に主張することはできないので、明言しなかったのでしょうし、裁判所もその辺を考慮したと思われます。しかし、あそこまで強く言ったので、裁判官の印象には十分残ったと思いますし、それを前提に考えてくれるのではないかと思います。

今日の口頭弁論は1時間近くかかりましたが、これほど長い口頭弁論は私も初めての経験です。
これをどういう風にとらえるのかというのは難しいところですが、まずは、裁判所がこの裁判に真摯に向き合い、争点を整理してきちんと判断しようとしていると、好意的に受け止めたいと思います。裁判所としても参加人の主張がいまひとつわからないので、原告が主張を整理し、それに対して参加人がどこまで説明できるのかを見極めたうえで判断しようとしている姿勢が見えると考えます。
しかしながら一方では、今日の裁判は慎重に分析する必要があるとも考えています。裁判所が二つの争点を出してきましたが、原告も練馬区も、これらを争点に攻防を繰り広げてきたのではありません。特に、一つ目の争点としている「再開発事業に関する都市計画は変更前地区計画に適合しているか」というのは、新たに裁判所が出してきた、これまで我々が言っていなかったものです。練馬区の主張を裁判所なりに一所懸命咀嚼しようとしている、さらに言えば助け舟を出そうとしている、ともとれる内容でした。
ここで「変更前地区計画でも高さ100メートルの再開発事業はできた」と判断されれば、我々の訴えは「棄却」となる可能性もあります。これに対しては、「変更前地区計画でも再開発事業はできたのであればなぜ文言を変えたのか」、その点をきちんと追求していきたいと考えています。それもあって、先に述べたように「高さの変更の必要性はなかったと主張するのであれば、それを明言してほしい」と求釈明したわけです。
いずれにしても、裁判所が出してきた争点①について、裁判所が何を言わんとしているのかを慎重に分析し、それがこちらの主張にどう関係するのかも分析する必要があると思っています。
また、今日は練馬区の代理人もかなりしゃべっていましたが、これも異例のことです。これまでに裁判所が出した宿題に対する練馬区の回答が裁判所の期待した内容ではなかったので、裁判長は練馬区代理人に口頭での回答を促し、しゃべらざるを得ない状況を作ったわけです。この点もうまくとらえて我々も次の作戦を練りたいと思います。

今後の見通しになりますが、今日の裁判所の意向により、結審が1月終わりから2月終わり、判決は3月終わりから4月終わりにずれ込む見込みです。一方で、再開発組合は9月中に「権利変換計画認可申請」を行なう予定で、12月中旬にも認可が下りる可能性があります。その場合は、以前からお伝えしていた通り「執行停止」の申し立てを行います。執行停止が認められるためには本案についての理由がある程度認められる必要があり、裁判でのやり取りが裁判所の判断に反映されますので、私たちとしては、本案についての主張をし尽くしていくことが重要だと考えています。

引き続きみなさんのご支援をよろしくお願いいたします。
 

以上

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