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【第1次】裁判レポートNO.1
「石神井まちづくり訴訟」の第1回口頭弁論が終わりました

「2021年3月2日火曜日、霞が関の東京地方裁判所第703号法廷で「石神井まちづくり訴訟」の第1回口頭弁論が行われました。
傍聴はコロナの影響で通常の半数、24人に制限されていましたが、数人を除いてあとは「サポーターズ」のみなさんという、大変心強い状況の中での裁判でした。初めて傍聴してわかったことですが、関係のない裁判でも傍聴可能なので、早めに行って前の裁判から傍聴していれば、確実に席が確保できます。傍聴にご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
以下に、傍聴とその後の報告会の内容を簡単にまとめました。

 

【第1回口頭弁論】東京地方裁判所703号法廷にて
🔶13時30分開廷
裁判官が入廷すると、静かに一同「起立、礼、着席」。
裁判官が、事前に提出してあった原告からの「訴状」と被告からの「答弁書」の確認を行いました。
    


   

 

 

 

🔶原告による意見陳述
手製のパネルを使用した、力のこもった意見陳述でした。


 

  

🔶原告代理人弁護士による口頭弁論
9年間にわたる住民と練馬区の話合いの末にできた地区計画を、わずか1~2年のうちに、行政が住民との話し合いもなく簡単に変えてしまうのは許されない、との趣旨でした。

🔶さらに、弁護団より答弁書への反論(答弁書の内容については後述)
・練馬区長はすでに区報で、令和3年度中の事業認可を目指すと明言しているのだから、処分の蓋然性(がいぜんせい)は存在している。
・原告適格の議論で時間を費やしたくないので、これはひとまず置いておきたい。
・認可がおりてからの訴訟では間に合わない。できるだけ早く議事を進めてもらいたい。

🔶次回、第2回口頭弁論の期日は、4月27日(火)15時30分と決まりました。


【第1回口頭弁論報告会】弁護士会館508号室にて
裁判終了後、地裁向かい側の弁護士会館に移動、弁護団による「報告会」が行われました。

🔶弁護団からの報告と説明
 

▷訴訟の概要
・練馬区が再開発についての都市計画決定したその日に提訴。
・訴状は地区計画変更の違法性を問うもので、被告は、市街地再開発組合の設立認可を行う東京都と都市計画決定をした練馬区

 

▷被告の答弁書
答弁書の主な内容は次のとおり。

■東京都
①蓋然性がない
(私たちは、この先東京都によって行われるであろう市街地再開発組合設立認可について、その差し止め処分を求めている。これに対し東京都は)まだ準備組合による組合設立認可の申請も行われておらず、現状では処分の蓋然性がないので、差止め請求は却下されるべきである。
*「蓋然性」とは・・・いろいろの点から見て、そうなることが十分に予測できること                      (三省堂 新明解国語辞典より)

②地権者以外の地域住民4名は、原告適格がない。
■練馬区 
地区計画変更・市街地再開発の都市計画決定は、取消訴訟の対象となる「処分」にあたらないから、訴えは却下されるべきである


▷意見陳述と口頭弁論の扱いについて

意見陳述と口頭弁論を裁判記録のどこに置くか(証拠として記録するかどうか)で裁判官と弁護士との間で議論があった。いずれにしても、必要な主張立証は、別途準備書面や書証として提出するので、問題はない。

🔶これからの裁判方針


▷法廷での口頭弁論を中心に

今回は大勢の方に傍聴していただき、大変力になった。
また、通常の行政訴訟は書面のやり取りだけで終わり、何が行われているのかわからないことが多いが、今日は通常より多くのやり取りがあった。
今後も書面でのやり取りだけでなく、口頭弁論を大切にして、法廷の場での議論を重ねて裁判官の理解を深めていきたい。
今後も多くの方に傍聴にご参加いただき、後押しをお願いしたい。


▷蓋然性が認められることに注力する
蓋然性が認められれば、東京都は認可の正当性を説明する必要が生じ、必然的に練馬区は地区計画変更の正当性への説明が求められる。よって本論に入ることができる。
蓋然性がないとされると、1年後に認可が下りてからの提訴となり、1年遅れになる。それでは取り返しがつかないので、蓋然性があり、論点はすでにはっきりしている(成熟性がある)ことを訴えていく。

 

🔶参加者と弁護士とのQ&A


Q:被告側の出廷者は?
A:被告席前列の3人は23区全般の訴訟を担当する部署の弁護士。ほかに東京都と練馬区の職員も数名ずつ出廷していた。

Q:どのようなサイクルで裁判は行われるか。勝訴の事例はあるか、今後の見込みは?
A:行政訴訟は一般的に2か月サイクル。行政側は1年後には認可を出す方向で調整を進めており、1年で6回しか議論は重ねられないので、それを前提に準備は進めている。まずは処分の蓋然性を裁判所に理解してもらい、議論に入りたい。勝訴例は、多くはないがある。見込みについては、裁判は個々すべて違う事例なので一概には言えない。

Q:最高裁まで進めるような性格の、あるいは価値のある裁判なのか?
A:価値としては、十分に最高裁の判断を仰ぐ内容のものと考える。しかし、私たちは何よりこの事件を解決したいとの思いでやっているので、まず地裁での勝訴を目指したい。

Q:係争中でも、行政が仕事を進めることは可能なのか?
A:執行不停止の原則というのが、行政事件訴訟で定められている。このため、係争中でも事業は止まらない。

 

以上で今回のレポートを終わります。
 

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