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【第2次】裁判レポートNO.8
第2次「石神井まちづくり訴訟」の第8回口頭弁論が行われました

2023年10月30日月曜日、霞が関の東京地方裁判所第703号法廷で第2次「石神井まちづくり訴訟」の第8回口頭弁論が行われました。裁判もいよいよ大詰め、今回も多くのサポーターズメンバーや支援者の方々が傍聴に詰めかけてくださいました。誠にありがとうございました。
前回、裁判所の考えている争点が2点にあると提示し、あらためて原告、参加行政庁練馬区双方に準備書面の提出を要請しました。

【第8回口頭弁論】  東京地方裁判所703号法廷にて
🔶 13時05分開廷

裁判官入廷。まず原告、参加行政庁(練馬区)双方から提出された書面の確認が行われた。提出書面は以下のとおり。
原告:準備書面(3)、証拠説明書(5)、甲39・甲40-1~3号証
参加行政庁(練馬区):準備書面(6)、証拠説明書(6)、丙49・50号証

 

🔶裁判長より

前回争点を以下の2つと考えていると提示した。
①本件事業に係る都市計画決定が、変更前地区計画に適合するか。
②本件地区計画変更は違法か。

🔶原告代理人弁護士より

・都市計画変更の必要性について行政庁はどう考えているのか。
・行政庁は要綱の変更だけで、都市計画の変更が可能であるとの主張をしている。これについて従来より原告がその説明を求めているが回答がない。
・要綱変更だけで高さ変更が出来るという行政庁の主張であるが、都市計画の変更が必要であったとするなら、なぜ変更したのか、それは裁量権の逸脱になるのではないか。

 

🔶参加行政庁弁護士より

・変更後地区計画は100m超という具体的数字を出している訳ではない。

 

🔶原告代理人弁護士より

・権利変換計画認可が迫っている、執行停止の申し立てをする場合、裁判の進行が必要である。
・要綱の変更だけで足りると言うなら、わざわざ地区計画を変更した理由をきちんと参加行政庁に説明してもらいたい。

🔶裁判長より

裁判所として年内にもう一度(裁判)期日を入れたい。
次回は12月26日(火)14時よりとする。参加行政庁は12月19日までに準備書面を提出願いたい。
また都市計画変更の必要性について、要綱の変更で出来たとするなら、その理由も出してもらいたい。

原告:準備書面(3)、証拠説明書(5)

  参加行政庁(練馬区):準備書面(6)、証拠説明書(6)は

以下のボタンから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、第9回口頭弁論は、2023年12月26日(火)14時より703号法廷で行われます。

【弁護団からの解説】

裁判終了後、東京地裁別室にて、弁護団から以下のような報告、解説がありました。


🔶本日の裁判について

本日も本当に多くの方にお集まりいただき、ありがとうございました。
前回裁判所から「本件に関して、論点は二つではないかと考えている、その考え方があっているのか、それとも違う考え方をしているのかについて双方検討してほしい」とのリクエストがありました。なので、前半のやり取りは双方の認識を確認していたということになります。
参加行政庁練馬区は「合っている」、東京都も「合っている」という考え方を示しました。
これに対して私たちは1点違うところがあるという話をしました。どんな違いがあるのかというと、
裁判所は論点を以下の二つに整理していました。
●論点① 変更前地区計画下において、現行の市街地再開発事業における建物の高さは成り立つのか
つまり変更前地区計画と現在の第1種市街地再開発事業は適合しないものなのかどうか、という点です。これは要するに、変更前地区計画では高さ制限を基本的には35メートルに定めているだけで、50メートルという制限に関しては、「要綱」によってはじめてそこまで緩和されていくわけで、変更前地区計画自体に50メートルという言葉が載っているわけではないとしています。
私たちは、50メートルという制限は、原則と例外がある場合は、例外は原則の1.5倍までしか認められないといういわゆる「1.5倍ルール」があったのだということを前提しています。なので裁判所の整理にあてはめると、変更前地区計画の下では100メートルを予定している今回の再開発ビルは建たないと結論しています。 
これに対して練馬区は、「変更前地区計画でも原則と例外というものの例外は要綱でしか書いていないし、要綱に例外で50メートルとは書いているが、やろうと思えば100メートルでも書ける」と主張。なので、変更前地区計画でも要綱さえ修正すれば今回の100メートルの建物は適合すると主張しています。
ここが争点だということでは、双方の認識は一致しています。
 一方、認識が一致しない点は「1.5倍ルール」についてです。
私たちは、「仮に1.5倍ルールがなかったとしたら、練馬区の言う通り要綱の修正で100メートルが建てられたのかもしれない。しかし、もしそうだったとしてもやはり違法であると考えられる。なぜかというと、要綱の変更で足りるならば要綱を修正すればよかったはずで、地区計画それ自体を変更する必要がなかったはずである。都市計画法は変更の必要性がなければ変更してはいけないとされているので、要綱で足りるのであれば地区計画自体の変更はやはり違法である」と主張しています。
私たちはもちろん1.5倍ルールがあると考えていますし、今回これについてかなり詳細に説明しました。以前から説明はしているのですが、裁判所に総合設計許可や高度利用地区などについての知識があまりないので、そこをかなり詳しく説明しました。全体としての都市計画のルールがどうやって構築されているのかを説明したわけです。総合設計許可とか高度利用地区などの都市計画法あるいは建築基準法の仕組み上、高さ制限がある場合に、それを緩和するとしても1.5倍を限度とした緩和までしか認められないという法体系になっています。都市計画の仕組み全体が「1.5倍ルール」で高さをきちんとコントロールする考え方に、少なくとも東京都では変わってきている、と説明しています。
つまり、練馬区の主張には根拠がないことを主張しています。
●論点② 地区計画変更決定の適法性 都市計画変更の必要性の有無について
これは行政の裁量権についてですが、これについては、平成17年に最高裁判所が、小田急線の高架化をめぐる裁判で許認可についての裁量権の行使について違法となる場合について明示しているので、その最高裁判決の規範にあてはめることは変わらないので、裁判所の判断を待つこととなります。

最後に、裁判所の論点整理の仕方を見て私たちが感じたところをお伝えしたいと思います。
裁判所は最後に行政庁に対するリクエストとして、「②の裁量論を1.5倍ルールが認められた場合と認められない場合、2つの場合に分けてきちんと論じてほしい」との要望を出しました。これは裁判所が「1.5倍ルール」が認める可能性があると思っているので、このような要望を出したのではないかと感じています。「論点①だけで判断して終わりにするつもりではなく、きちんと論点②の裁量権にも立ち入った形で判断するつもりだ」という裁判所の意思表示と感じているところです。

今回は新しい主張をしたというよりは、裁判所の求めに応じてこれまでの主張の整理をしたというところです。ただ1.5倍ルールに関しては、歴史的な経緯を踏まえて新たな主張もしています。これを受けて次回練馬区が次回主張をします。場合によってはそれで審議が集結して判決に向かっていくという終盤に入っています。私たちとしては、行政庁の主張で終わるのではなく、短いインターバルでも構わないので、最後は私たちの主張で終わりたいと考えています。

「権利変換計画認可」が下りた場合は、いよいよ「執行停止」の申し立ても考えなくてはいけないと思っています。市街地再開発事業の進捗状況を注視しながら、臨機応変に判断していきたいと考えています。

引き続きみなさんのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。


以上
 

以上

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