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【控訴審】裁判レポートNO.2
「石神井まちづくり訴訟」の控訴審の判決言い渡しが行われました

2025年1月22日水曜日、霞が関の東京高等裁判所第808号法廷で「石神井まちづくり訴訟」の控訴審の判決言い渡しが行われました。
厳しい判決になるのではと予想されていたにもかかわらず、 30名近い多くのサポーターズメンバー、支援者の方々が傍聴に詰めかけてくださいました。本当にありがとうございました。
以下に法廷の様子をお伝えします。

【口頭弁論期日の内容】  東京高等裁判所808号法廷にて


🔶14時開廷

裁判官入廷。

🔶裁判長より

主文:本件各控訴をいずれも棄却する。
   訴訟費用は控訴人らの負担とする。


・判決文は以下の通り 

 

 

*報告会のお知らせ

弁護団を迎え、控訴審の報告会を以下の通り行います。ご都合のつく方はぜひご参集ください。
日時:2025年2月18日(火)18時30分~20時30分
  会場:石神井庁舎5階第2・第3会議室

 

【弁護団からの解説】

裁判終了後、弁護士会館講堂に場所を移し、弁護団から以下のような報告、解説を聞きました。
🔶本日の裁判について

本日も大勢の方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
判決の言い渡しは一瞬で終わり、残念ながら控訴に関しては全面敗訴ということになりました。さらに争うとなると最高裁判所に上告となりますが、最高裁では判例違反、憲法違反などでない限り結論は変わらないので、現実的には上告は難しいと考えています。

一審判決で私たちが問題視したのは、「変更前地区計画は将来の高さ変更を認めないという内容にはなっていないとした地裁の事実認定には何ら証拠がないこと」、また高さ変更に関して「練馬区は考慮すべき事項を十分に考慮していなかった点で違法である」とする私たちの主張に対し、地裁は、「共同化の必要性があれば考慮する必要はない」とした部分です。
今回の高裁判決は、これらの点について地裁判決よりはきちんと向き合っているという印象はありますが、最終的には「行政の裁量の範囲である」との結論になっています。

今回高裁は、判決の全文を書き換えています。通常、一審判決つまり地裁判決の結論を維持する場合は、修正するにしても一部分のみですが、今回の判決文は一から書き直しています。私たちも今、判決文を受け取ったばかりできちんと分析できていませんが、その前提で、内容をもう少し詳しくご説明します。

今回の裁判で我々が主に問題としたのは、高さ制限緩和に関する以下の2点です。
① 変更前地区計画に定めた35メートル、例外でも50メートルという高さ限度をわざわざ変更する必要があったのか
②「景観計画」に定められている石神井公園からの眺望を重視した「景観形成基準」に矛盾するのではないか

これに対する高裁の判断ですが、
1点目の「地区計画変更の必要性について、主に以下の2つのことを言っています。
1つ目では、土地の高度利用や建物の共同化の必要性を強く言って+-います。具体的には、都市再開発や建物の共同化などについて、都市マスタープランなどを引用して「そもそもこの地区では土地の高度利用や建物の共同化が前提となっていた」と強く打ち出しています。また、変更前地区計画の高さ制限は市街地再開発事業を否定するものではないと言っています。その根拠として「変更前地区計画には市街地再開発事業を否定する文言がない、だから市街地再開発をやらないと決めたものではない」としています。
2つ目として、今回の変更に関して「練馬区は5年の間に6回の懇談会、3回の説明会を開催し、その後練馬区の都市計画審議会(都計審)にも図っている。このような民主的手続きを経て変更しているので、変更が許されないということにはならない」と言っています。
ここで1点疑問なのが、以下のような高裁の判断です。
変更前地区計画の策定プロセスにおいて、平成23年9月の推進協議会で区側の事務局から「建物の高さが35メートルに抑えられるので、今後はピアレスのような高い建物は建てられなくなる」との説明があったことを私たちは指摘していますが、高裁はこれを認めながらも、「これはその当時の状況を前提とする説明と考えられるから、このことを根拠として市街地再開発事業をしない、あるいは、

今後土地の高度利用が進展した場合にピアレス、プラウドのような高い建物の建設を停止することを決定したとは認められない」としていることです。本来地区計画というのは「今から始まって将来の建築合意をどうするのか」を決めるものなので、「その当時の状況を前提としており、その後の変更まで縛るものではなかった」とする高裁の説明は理解できません。

2点目の「景観形成基準との整合性」については以下のような判断をしています。
石神井公園からの景観において突出しないように建物高さを抑えるという問題ですが、これについてはほぼ一審と同様の内容で、「ピアレスやプラウドを基準に考えればよく、再開発ビルは同程度の高さなので突出しているとは言えず、景観形成基準に反するとは認められない」としています。
本件の建築計画については、都計審の景観部会において否定的な議論がなされていて、都計審においても消極的な意見が出されています。その点について高裁は、「景観部会の部会長や複数の委員から「既存高層建築と比較して突出か否かの議論するのはおかしいのではないか」という意見があったことは認められるが、都計審の最終的意見には「石神井公園からの眺望に配慮するよう努められたい」としか書かれておらず、再開発ビルの高さが景観形成基準に適合しないとは指摘していない』ので問題ないとしています。実際に景観形成基準が定められた当時の経緯やその後の景観部会での議論内容を見ることなく、このように判断しています。
 
また、練馬区は共同化を「防災」や「安全」につなげることで裁判所が否定しにくい主張を行っており、裁判所はこれを認めた形になっています。
我々も共同化による「防災」や「安全確保」を否定するものではありませんが、「35メートル、あるいは50メートル高さでの共同化の可能性の検討を十分にしていなかったのではないか」という私たちの問いに対し、高裁は、「そもそも変更前地区計画は、より高い建物を建てないと決めたわけではないので、検討の必要はなかった」と暗に言及し、「高さ制限の緩和は行政の裁量権のうちである」と結論付けています。さらに、地区計画の上位計画である都市再開発の方針やマスタープランが共同化をある程度推進しているので、まちなみ誘導型の地区計画がすでにあっても、直ちに第1種市街地再開発事業を認められないということまでは言えないとしています。要するに裁判所は、「共同化の必要性があるなら共同化しやすいように制限を緩和してもよい」と言っているのです。
今回の高裁判決は、地裁判決よりは我々の主張に対して丁寧に向き合っていますが、本質的な部分については答えていないというのが私たちの受け止めです。

あらためて、2020年12月17日の第1次訴訟提訴から4年以上に渡ったこの訴訟を支援してくださったみなさんにお礼申し上げます。ありがとうございました。
                                       以上

 

           

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