「石神井まちづくり訴訟サポーターズ」は、石神井公園駅南口における再開発事業認可の差止めと地区計画変更などの取り消しを求める訴訟=「石神井まちづくり訴訟」をサポートするために発足した任意団体です。
原告団は、この訴訟によって地区計画変更に至る練馬区の不法性を明らかにし、再開発事業を差止め、あわせて都市計画道路232号線を止め、私たちが訴えてきた石神井の景観や秩序を守ることに繋げたいと考えています。これから、長く厳しい戦いとなることと思いますが、私たちは、石神井のまちづくりをこの訴訟に託す想いで原告団を支えていきます。
【第2次】裁判レポートNO.11
第2次「石神井まちづくり訴訟」の第11回口頭弁論が行われました
2024年5月16日木曜日、霞が関の東京地方裁判所第103号法廷で第2次「石神井まちづくり訴訟」の第11回口頭弁論が行われました。
この日は本来「判決言い渡し」の予定でしたが、2024年3月13日に地裁が行った一部地権者に対する土地明け渡しの「執行停止」の決定を受け、石神井公園南口西地区市街地再開発組合(再開発組合)が本訴訟について弁論再開の申立をおこない、これを地裁が受け入れて弁論を再開、「第11回口頭弁論期日」に変更されました。また場所も、多くの傍聴者が見込まれるとの裁判所の判断により、これまでの703号法廷から、定員98名と東京地裁で最も広い103号法廷に変更されました。
異例ともいえる展開のなか、「裁判の行方を最後までしっかりと見届けていただきたい」との原告団からの呼びかけに応じ、60名を超えるサポーターズメンバーや支援者の方々が傍聴に詰めかけてくださいました。誠にありがとうございました。以下に法廷でのやり取りを簡単にお伝えします。
【第11回口頭弁論】 東京地方裁判所103号法廷にて
🔶 15時開廷
裁判官入廷。
🔶裁判長より
再開発組合の申し出により参加を認め、弁論を再開することとした。
組合から3通、練馬区から1通、原告から1通、書面が提出されている。
提出書面は以下のとおり。
石神井公園南口西地区市街地再開発組合:
口頭弁論再開申立書、訴訟参加申出書、準備書面(1)~(3) 丁第1号証~丁65号証
原告:準備書面(5)、甲第42~43号証
参加行政庁(練馬区):準備書面(8)、丙62号証
🔶再開発組合代理人弁護士より意見陳述の要旨
平成27年2月から再開発組合代理人弁護士として参加しているが、駅から組合事務所に移動する時、車と歩行者の距離が近く、危険な道路と感じた。道路整備をするにも、市街地再開発事業であれば居住者が立ち退いてもまた戻れ、地域社会が保存できるとの考えから、再開発組合はこれを推進するとの総意に至った。
🔶原告代理人弁護士より意見陳述の要旨
この裁判の主たる争点は、地区計画変更の違法性、また景観計画に対する違法性を問うものである。
これは今回の再開発だけでなく、地区計画変更により他の建物にも影響するものである。
昨年12月以降、現地では急ピッチで解体が進んでいる。高裁の判断で執行停止が覆った事により、申し立て人は物理的、精神的苦痛を受けている。
なぜ今になって再開発組合が訴訟に参加するのか疑問であり、組合の申し立てにより判決が延びた事は残念である。私達は組合になんら損害を与えようとしているものではなく、一日も早く本訴の判決を願うものである。
🔶裁判長より
本日をもって結審とする。
次回判決言い渡しは、2024年7月29日(月)15時とする。
・石神井公園南口西地区市街地再開発組合:訴訟参加申出書、準備書面(1)~(3)
・原告:準備書面(5)
・参加行政庁(練馬区):準備書面(8)は、以下のボタンから
*次回、判決言い渡しは、2024年7月29日(月)15時より103号法廷で行われます。
【弁護団からの解説】
裁判終了後、場所を移して、弁護団から以下のような報告、解説を聞きました。
🔶本日の裁判について
本日は大勢お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。本来ならば本日は判決言い渡しの予定でしたが、残念なことに今回、再開発組合が訴訟に参加して自分たちの言い分を言いたいと弁論再開の申し立てをし、裁判所もそれを認めて本日の判決言い渡しがなくなってしまったという次第です。この点に関しては、再開発組合はこれまでいつでも弁論の機会があったにも関わらず、この段階において参加して判決を遅らせること自体、私たちとしてはありえない事と思っていますが、訴訟の進行に関しては最終的に裁判所の判断となりますので仕方ないというところです。
本日、7月29日(月)が判決言い渡し期日に指定されましたので、ぜひともみなさんに判決を聞き届けていただきたいと思います。
本日の裁判でどのようなことが行われたのか、口頭弁論でも申し上げましたが、あらためてご説明したいと思います。まず、この訴訟の経過を簡単に振り返りたいと思います。
私たちが争っているのは、「再開発組合設立」を事業計画とともに認めた東京都の「設立認可処分」がおかしいということで、2022年8月1日に認可の取消訴訟を提起しました。2024年2月8日に最後の口頭弁論期日があり結審、判決期日が本日に指定されていました。
そのような中で再開発組合の行ってきたことですが、結審して判決がもうすぐであることがわかっているにも関わらず、2024年1月25日に「権利変換処分」を行い、地権者の土地所有権を失わせる処分を行いました。さらに2月9日には土地と建物の「明け渡し請求処分」を行うなど、間近に迫った一審判決を待たずに駆け込みで再開発事業を押し進め、取り返しのつかないようなアクションに出ています。
原告地権者の周りの建物は、急ピッチで立ち退き・解体が進められており、インフラの撤去も進んでいます。我々はこれを止めるべく「執行停止の申し立て」を行ったところ、地裁は3月13日、執行停止の決定を行いました。これについては、4月に行った報告集会でご説明したとおりです。
この執行停止決定を受け、再開発組合は3月29日、本訴に参加したいとの申し出をし、弁論に参加して自分たちの主張の機会を与えてほしいとの申し立てを行いました。
再開発組合の言い分は、「裁判で東京都が負ければ組合設立認可が取り消されるわけで、この訴訟の結果に最も利害関係を有しているのは自分たち再開発組合であるから、主張、立証の機会を与えてほしい」というものです。これまで約1年半の間、いつでも弁論に参加する機会はあったはずであり、再開発組合の代理人弁護士は毎回傍聴し、裁判の内容、進捗状況がわかっていたのにも関わらず、参加しようとしてきませんでした。まさか行政訴訟で東京都と練馬区が負けるはずはないと考えていたのが、ここにきて訴訟に参加したいというのは、3月13日の地裁の「執行停止」決定を受けて慌てたということでしょう。弁論再開について我々はかなり抵抗しましたが、一審の裁判所として「弁論の機会を与えましょう」ということで本日、弁論再開ということになりました。じつはこれは一審の裁判所ではありうることで、弁論の機会を与えずに判決を下し、控訴審で同じ主張を繰り返されるならば、一審で主張を聞いたうえで判決を下したいというところではないかと考えます。
本日、再開発組合は3通の準備書面を提出しており、内容は概ね練馬区のものと同じですが、1点、「北口と南口の開発は一体としてやってきており、南口の再開発は地区計画の段階でそもそも織り込まれていた、現行の地区計画は予定されていたものである」と新しく主張しています。これは全くの初耳であり、であるならば、2011年の段階で高さ35メートル制限は入れないはず、また今回の「まちなみ誘導型地区計画」は長いスパンで少しずつまちの景観を改善しようというもので、地区計画を簡単に変更するような性格のものではないはずです。我々はこうした再開発組合の主張に対する反論書面を提出し、本日を迎えたというところです。
次に地裁による3月13日の執行停止決定についてですが、これを5月9日に高等裁判所が取り消してしまい、現状、再開発組合は予定通り事業を進行できる状況になっています。
高裁が取り消した理由は「執行停止を取り消しても重大な損害はない」ということです。つまり、「土地および建物の明け渡しによって地権者は財産上の不利益とは別に、相応の精神的・肉体的負担をこうむることは認められる。しかし、申立人は再開発ビルの所有権を取得することになるので、再開発ビル竣工の折には戻ってこられる。また、それまでの仮営業所や住居の移転先を確保することは難しくない」として、執行停止申し立てを却下してしまいました。永年にわたる生業と生活の場を奪われる申立人にとってこれは到底納得できる内容ではありません。
このまま進むと地域が更地になってしまい、我々が勝訴しても「違法ではあるけれども、公益に著しい影響があるので取り消さない」という「事情判決」となる可能性があります。これは大変におかしなことで、憲法32条には「裁判を受ける権利」が書かれており、行政が違法な行為をしたら、それをきちんと裁判所で審理してもらうのは私たちの権利です。違法な地区計画に基づいて行ったにもかかわらず裁判制度を通じて止める方法がないというのは根本的に制度がおかしい、あるいはその制度の解釈がおかしいということになります。
このような事態を招く東京高裁の決定を我々は到底容認できないので、5月9日に最高裁に「特別抗告」を、高裁に「許可抗告」を行いました。執行停止の舞台は最高裁に移るということになります。
*特別抗告:最高裁判所に対して行うもので、主張できる内容は憲法違反を理由とするもの
*許可抗告:高等裁判所に対して行うもので、法令の解釈に関する重要事項について不服とする申し立てとし、その内容を見て最高裁の特別抗告に送るかどうかを判断する
平成16年に行政事件訴訟法が改正され、司法がきちんと国民の権利利益を救済するために機能していないのではないかとの話から制定されたのが「差止訴訟」です。だからこそ私たちは、本件について司法がきちんと判断して住民が救われるよう、「都市計画決定」が出たその日に「第1次訴訟」を提起しましたが、時期尚早として却下されました。そこで、組合の設立申請が出た時点で「第2次訴訟」を提起しました。しかしながら練馬区がよくわからない主張を繰り返し、結果として結審がこのタイミングとなったわけです。私たちは再開発組合に対して何ら悪意があるわけではなく、練馬区の地区計画変更がおかしいと訴え、それについてできるだけ早く司法審査の結果を出してほしいと要請しているわけです。
もし、今回の「執行停止取り消し」の高裁決定が許されるなら、行政庁はのらりくらりとした対応で判決を引き延ばし、時間切れに持ち込んで勝つ、ということが許されてしまうわけです。これで本当に国民の権利利益が救済されるのか。裁判所は平成16年の改正を忘れて、司法の果たすべき役割、その心を失ってしまったのかと強い憤りを感じています。判決については待つしかないですが、執行停止に関してはすでに最高裁に「特別抗告」を出しており、きちんと争ってなんとか勝ちたいと思っています。
事情判決の可能性の有無についてですが、そもそも第1種市街地再開発事業の執行停止が認められたこと自体初めてで、だれも経験したことのない状況にあります。また違法を宣言しておきながら事情判決という事例はないので、どういう状況にいたれば事情判決が出るのか、先例から判断するのは難しい。私たちはやるべきことをしてきて、それでも事情判決ということだとすると、司法の仕組み・制度が悪いか、それに対して十分応えようとしない司法の姿勢に問題があるということになるのではないかと考えます。現状、被告側がそのような申し立てを行っていないので、一審で事情判決になる可能性はないかと思いますが、控訴審では相手方が事情判決を申し立てる可能性があります。だからこそ我々は、執行停止の特別抗告、許可抗告を重視しているということです。
一つ付け加えますと、解体して更地になったからと言って、それで事情判決となるのかというのは疑問です。きれいになった土地で、変更前地区計画に沿ったまちづくりを進めていけばよいのではないかと考えます。
地域のみなさんが毎回このように傍聴してくださっていること、また署名活動をしてくださっていることは大きな力となっています。
本日結審し、2024年7月29日(月)判決言い渡しとなりましたので、今回同様、大勢の方に傍聴していただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上