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【第2次】裁判レポートNO.6
第2次「石神井まちづくり訴訟」の​6回口頭弁論が行われました

2023年7月18日火曜日、霞が関の東京地方裁判所第703号法廷で第2次「石神井まちづくり訴訟」の第6回口頭弁論が行われました。身の危険を感じるほどの猛暑の中、これまでと変わらず多くのサポーターズメンバーや支援者の方々が傍聴に詰めかけてくださいました。誠にありがとうございました。

 

今回期日前に参加行政庁の練馬区より反論の書面が提出されました。裁判ではいつもより多くのやり取りが行われ、内容の濃いものとなりました。以下に、その内容を詳しく記載し、続いて、その後の弁護団からの報告もまとめています。

【第6回口頭弁論】  東京地方裁判所703号法廷にて
🔶11時00分開廷

裁判官入廷。
まず提出された書面の確認が行われた。提出書面は以下のとおり。
 被告(東京都):準備書面(2)
 参加行政庁(練馬区):準備書面(4) 証拠説明書(4)、丙第44号証

🔶裁判長より

参加行政庁 準備書面(4)の2ページ真ん中に「原告らが引用する参加人準備書面(1)の①ないし③の事項、原告らが引用する証拠に当該記載があること及び当該各事項が本件地区計画の駅前商業地区における建築物の高さの限度に係る定めを変更した理由ではないことは認め」とあるが、これまでの地区計画変更の必要性に関する主張との関係はどうなるのか?
→(参加行政庁練馬区回答)
参加行政庁練馬区があげた①補助132号線整備完了予定、②商店街道路の整備、③駅の立体交差化の終了は、地区計画変更の中で高さ制限とは直接関係ない。高さ制限以外の事情としてあげている。

🔶原告代理人弁護士より

以下3点について「求釈明」を行ない、それぞれ回答があった。
①    原告は「35mの高さがあれば現状の共同化されない小さな敷地でも500%の容積率を消化できると想定されることについても定量的な説明が何もない」と主張している。これについて反論はないのか。シミュレーション等はないのか。
→(参加行政庁練馬区回答)
    所管の内部ではシミュレーションしているが、一人歩きしてしまうのが望ましくない。
争点との関係で出す必要がない。
②    原告は、「令和2年12月17日に本件地区計画変更がされた際、石神井公園駅南地区地区計画に関連して東京都市計画高度地区が変更されているが・・・、高度地区による建築物の高さの最高限度については、区長の許可による特例で原則の適用除外がされる場合も、・・・緩和の上限は「最高限度の1.5倍まで」とされている(なお、このような1.5倍ルールは、練馬区において高度地区が定めた当初より規定があったのであり、前高度地区の変更により新たに定められたものではない)。」と主張をしているが、これについての反論はないのか。
→(参加行政庁練馬区回答)
  意図的に無視しているわけではない。
③    練馬区は、「本件事業の検討が進んできたことから、本件事業都市計画および高度利用地区を定めるのと合わせて、これらの都市計画との整合を図ることも、本件地区計画を変更した理由の1つである。」と主張しているが、この「整合性」について、どのように整合性を図ったのかということが主張されていない。
→(参加行政庁練馬区回答)
    必要な反論はしている。

🔶裁判長より
<一旦休廷し、裁判官退席して裁判官合議の後、開廷> 
裁判所としては参加行政庁の主張を理解しかねている。原告は高さ制限を問題としてきたと理解している。原告の認否・反論に必要な範囲ではなく、参加人の側で地区計画を変更したのは何故か、というのを分かりやすく10ページ程度にまとめて主張してほしい。シミュレーション結果も、一人歩きしない形で出せないのかも検討してほしい。

※被告(東京都):準備書面(2)
 参加行政庁(練馬区):準備書面(4)、証拠説明書(4)は、以下のボタンから

 

 

 

 

 

 

 

次回、第7回口頭弁論は、2023年9月14日(木)13時30分より703号法廷で行われます。

【弁護団からの解説】

裁判終了後、隣接する弁護士会館会議室にて、弁護団から以下のような報告、解説がありました。


🔶本日の裁判について
大変な暑さが続く中、本日も多くの方に傍聴していただき、本当にありがとうございました。

本日の裁判では多くのやり取りがあり、中身の濃いものであったと思います。冒頭、裁判所から練馬区の地区計画変更の理由についての「釈明」があり、私たちも3点の「求釈明」をしました。それを踏まえて裁判官3人で合議した結果、裁判所は練馬区に対し、「区がなぜ地区計画変更をしたのか理解しかねている。次回までに、地区計画の変更の理由を10ページ程にまとめて主張してほしい」との要請を行ないました。

これまで練馬区が裁判で地区計画変更の必要性として挙げていたのは、①補助132号線整備完了予定、②商店街道路の整備、③駅の立体交差化の終了の3点です。これに対しては前回私たちが、この3点は変更前地区計画の段階から計画上記載されており、考慮されていたことを詳細に指摘したところ、今回練馬区は突然この主張を取り下げ、高さ制限とこの3点は関係ないと認めました。
練馬区は「高さが問題とは思っていなかったので地区計画変更の理由として①~③を挙げた」と主張していますが、裁判所は、『原告は当初から"高さ”を問題としてきている』と指摘しました。また練馬区は、市街地開発事業の機運が高まってきたことを理由とし、変更前地区計画が完了したころからそう説明してきたので問題はない、と強弁しています。さらに昔の資料に都市計画事業変更の必要性が記載されていることを挙げ、裁判には関係ないと思っていたのでこれまで言ってこなかったとも説明しています。

原告側からは、上記記載のとおり、3点の求釈明を行いました。

私たちはこれまでいろいろな行政裁判に関わってきましたが、今日のように裁判官全員から「あなた方の主張を理解しかねている」と言われた行政庁は初めて見ました。都市計画変更の手続きを経ているわけですから、区民も含めてきちんと説明がつくされているはずで、変更理由を説明できないことは通常ありえません。裁判所としても、地区計画変更の必要性について理解しかねる状況で「地区計画変更は裁量の範囲である」と判断できないだろうと思います。都市計画決定変更の必要性が要件になっている以上、裁量の範囲を超えているということはつまり、「違法である」と私たちは考えます。

 

これまで年内結審を想定していましたが、今日の裁判の結果、進行が遅れる可能性も出てきました。裁判が長引くことは残念ですが、望ましい展開にはなってきていると思います。
裁判所は明確に練馬区に対して地区計画変更の主張を促しており、次回練馬区にとっては主張のラストチャンスといえるでしょう。そこできちんとした回答がなければ、裁判所としても、原告の請求を「棄却」してよいのか、原告の請求を「認容」するか真剣に考えざるを得ない展開になるのではないかと思っています。
私たちも次回提出される練馬区の書面を注視し、裁判所の反応を見つつ、しっかり反論してよい判決をもらえるようにしたいと思います。
引き続きみなさんのご支援をよろしくお願いいたします。
                                           以上

 

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