「石神井まちづくり訴訟サポーターズ」は、石神井公園駅南口における再開発事業認可の差止めと地区計画変更などの取り消しを求める訴訟=「石神井まちづくり訴訟」をサポートするために発足した任意団体です。
原告団は、この訴訟によって地区計画変更に至る練馬区の不法性を明らかにし、再開発事業を差止め、あわせて都市計画道路232号線を止め、私たちが訴えてきた石神井の景観や秩序を守ることに繋げたいと考えています。これから、長く厳しい戦いとなることと思いますが、私たちは、石神井のまちづくりをこの訴訟に託す想いで原告団を支えていきます。
【第2次】裁判レポートNO.3
第2次「石神井まちづくり訴訟」の第3回口頭弁論が行われました
2023年2月7日火曜日、霞が関の東京地方裁判所第703号法廷で第2次「石神井まちづくり訴訟」の第3回口頭弁論が行われました。今回も多くのサポーターズメンバーや支援者の方が傍聴してくださり、原告団、弁護団ともに大きな力をいただきました。ありがとうございました。
この第2次訴訟の直接の被告は東京都ですが、主な争点は高さ制限変更の違法性です。その前提となる高さ制限撤廃を含む地区計画変更の「都市計画決定」を行ったのは練馬区であり、練馬区に説明責任があるとして「参加人(参加行政庁)」として練馬区も裁判に参加しています。
前回第2回口頭弁論の前に、練馬区は、地区計画変更の必要性について説明した準備書面(1)を提出しました。しかし、高さ制限撤廃の説明が不十分であるとする原告代理人弁護士の指摘を受け、裁判所は練馬区に対し、都市計画を変更して高さ制限を撤廃した理由の説明をあらためて要請。今回、その回答が練馬区より提出されました。
以下に、今回の裁判の傍聴と、その後の弁護団からの解説の内容を簡単にまとめています。
【第3回口頭弁論】 東京地方裁判所703号法廷にて
🔶13時30分開廷
裁判官入廷。
まず練馬区(参考人)から提出された書面の確認が行われた。提出書面は以下のとおり。
練馬区:準備書面(2)、証拠説明書(2)
🔶原告代理人弁護士より
今回の練馬区の準備書面では、従前の地区計画で、駅前商業地域の高さ制限35メートルについて、緩和する場合でも上限を50メートルにした理由について明確な回答がなされていない。また、どのような状況の変化があって高さ制限を撤廃したのかの説明がない。この2点について再度書面での釈明を求めたい。
🔶裁判長より
原告側の指摘を認め、練馬区に対し、3週間以内に補充の説明を要請する。
※練馬区の準備書面(2)、証拠説明書(2)は、以下のボタンから
*次回、第4回口頭弁論は、2023年4月13日(木)10時30分より703号法廷で行われます。
【弁護団からの解説】
裁判終了後、703号法廷と同じフロアの別室で、弁護団から以下のような解説がありました。
🔶本日の裁判について
今日も多くの方に傍聴していただき、ありがとうございました。まずこれまでの裁判の流れを簡単に振り返りたいと思います。ご存じの通り、石神井公園駅南口では高さ制限撤廃の地区計画変更がなされ、その地区計画を前提にして高さ100メートルの再開発ビルを造るという再開発計画が進んでいます。この裁判は、その再開発組合の「設立認可取り消し」を東京都に求める訴訟になっています。前回も申し上げた通り、設立認可の権限は東京都知事にあるので、形式的には被告は東京都になっています。しかし、我々が一番問題と考えているのは高さ制限撤廃であり、その都市計画決定を行なったのは練馬区長なので、練馬区も「参加人」という形で被告席に座っています。
前回の期日で練馬区から提出された準備書面には、高さ制限撤廃の理由についての説明がなかったため、我々は練馬区に再度説明を求めました。これを受けて今回提出された練馬区の準備書面では、高さ制限の撤廃について、「区はもともと土地の共同化、高度利用について考えていたが、具体的に高度利用しようという人はいなかったので、従前地区計画では最高限度50メートルに定めた。その後、高度利用したいという人が現れたので、今回の地区計画変更で高さ制限を撤廃した」と説明しています。我々はこれを、「できうる限り容積を増やして事業性を高めたい、そのために高さ制限を撤廃した」という内容と理解しています。これは「お金を確保したい」とほぼ同義です。
我々が一番問題としているのは、「なぜ50メートルだったのか」ということですが、今回もその説明はありませんでした。もともと高度利用を考えていたならそれを前提に従前の地区計画での最高高さを50メートルにしたはずです。高度利用のために、50メートルを超えるビルを建てさせる理由はないはずです。50メートルの根拠は何だったのか。今回何が変わったから高さ制限を撤廃したのか。この2点について我々は補充の説明を求め、練馬区は3週間後に提出ということとなりました。
また、高さ制限を撤廃した理由についての練馬区の説明には、石神井公園からのスカイラインを整えようという区が自ら定めた「景観計画」についての言及が一切なく、石神井公園からの景観を全く考えていないことが如実になりました。我々はこのことから「考慮すべき事項を考慮していない。裁量違反であり、都市計画の変更の必要性はなかった」と考えています。都市計画決定に当たって景観のことは全く考慮せず、高度利用の事しか考えなかったのではないか、その点を追求していきたいと思っています。
今日の公判で景観計画について言及することはできなかったのか、とのご質問がありましたが、口頭での主張は記録に残らないので、次回準備書面できちんと主張していきたいと考えます。
また、裁判が進行していることで組合に対して何らかの制限をかけられないのかというご質問ですが、手続きとしては「執行停止」というものが考えられます。タイミングを慎重に考えていきたいと考えています。
練馬区の回答が不十分で、裁判の進行が遅くなっていますが、我々としてはあとから小出しで出されないよう、練馬区の主張を出し切らせてから反論を行ないたいと考えています。
一方で再開発事業はどんどん進んでおり、権利変換計画策定の真っ最中で原告地権者の方々が大変苦しい立場に置かれていることも承知しています。我々としても裁判をできるだけ早く進めたいと考えていますが、同時に裁判に勝てる訴訟の進め方をしたいので、その辺のバランスを取って次回の期日への準備を進めてまいります。万全の準備をして反論し、みなさまにもまたその内容をきちんとご説明したいと思います。
次回の我々の反論で双方の主張がほぼ出揃うことになるはずで、次回の口頭弁論期日は非常に重要な局面となります。引き続きご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
以上